「信頼関係が崩れてしまった生徒との向きあい方」その2
〜教師による教師のための『勇気づけ会議』参加後の報告より〜


前回の『勇気づけ会議』で,前々回の時にボランティアで発表していただいた先生に実際に取り組んでもらった事例についての報告をしてもらいました。


<F:ファシリテーターの教師 B:ボランティアの教師>

信頼関係が崩れてしまった生徒とどう向き合ったか。

B:まずは,教室に入った時からが課題でした。

F:どんなことですか。

B:選択の授業だったのですが,それまでの自分なら,例えば生徒たちが「きちんと並んで座っていない」ということに不快感を感じ,すぐに叱責していたところがあったのですが,今回は,自分の目標を
「とにかく,『信頼関係が崩れてしまった生徒』も含めて,まずは,「生徒が教師の持ってきたプリントを解いて受験勉強に取り組むこと」に設定して,それ以外のことには,とりあえず求めないことにしていたのです。
つまり,自分の生徒への要求を,低いレベルに設定して「とりあえずこれができれば良しとしよう」と考えるようにしたのです。

F:なるほど,とりあえず,生徒との現在の関係を考えて(生徒の実態を考慮して)自分のそれまで許せなかった部分を,つまり,自分の考え方を変えて臨んだのですね。

B:そうです。 前回の『勇気づけ会議』であった,
「作戦3の生徒は教師が注意すれば注意するほど,いっそうひどく不適切な行動を繰り返す。」だから「とにかく,授業で力をつけてあげることが大切である,という考えを重視して,習熟度に応じて力がつけられるように個別課題を準備して,その個別課題をさせることを最重要課題にする」
ということを実践したのです。

F:そうでしたか。それは,適切な対処法でしたね。その時に,生徒の座席はどうなっていました。

B:はい,お互い気の合う生徒がそれぞれ固まっていました。

F:なるほど,それでは前回の会議の<代替案1>にあった
 その子をグループで活動させてみる。「受験に向けて頑張りたい」という思いがあるのなら,対教師ではなかなかうまくかない場合も,グループ内での助け合い学習を設定することで,よくなるのではないか。
  を結果的に実践することになったのですね。
 ↓
B:はい。

F:その後,どうなりましたか。

B:お互い気の合う生徒がそれぞれ固まっていてたのですが,
(1) 小学1年生レベルの問題から段階的に準備していたため,男子を中心にして,普段は問題を意欲的に取り組まない生徒も,黒板に答えを書く等して積極的に取り組んだ。
(2) その結果,『信頼関係が崩れてしまった生徒』も含めて,全体的に授業に取り組もうとする雰囲気が生まれた。

 F:それはよかったですね。
「作戦3」を展開している生徒(不適切な行動をとっている生徒)については,とりあえず,直接的なアプローチはおいておくことが,教師側のとる大切な作戦です。
 その上で, 適切な行動をとっている生徒の良い面を勇気づけて伸ばし,その学級集団全体の向上を認める中で,不適切な行動をとっている生徒も勇気づけしていくのです。
 が効を奏したということですね。

 B:はい。

F:授業がうまくいったこと(=『信頼関係が崩れてしまった生徒』も適切な形で授業参加したこと)について,生徒全体に言葉をかけましたか。

B:はい。積極的に授業参加してくれてうれしい,という旨のことを伝えました。

F:「適切な行動をとっている生徒の良い面を勇気づけて伸ばし」たのですね。
↓       
(『勇気づけ会議』で考えた作戦や代替案が,実際に生かされたことは大変うれしいことです。また,もし上手く行かなかった時でも,次の代替案を考えればいいのです。

F:報告ありがとうございました。
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