「和」 その27 〜学年通信先生方バージョン〜
H16 12 9(木)
「教師のわざ」を考える
家本芳郎氏メールマガジン「教育実践ノート」より〜

あの「金八先生」のモデルの一人と言われ,鹿児島県でも100回以上の講演や研修会をこなしている「家本芳郎氏」がメールマガジンを毎月発行してます。月1回ですが,その内容は豊富で心に響くものがたくさんあります。
今回は,『教育相談週間』ということもあり,以下にあげる2つの記事を転載してご紹介したいと思います。(なお,このメールマガジンは登録すれば誰でも無料で見ることができます。パソコンをお持ちで,インターネットをされる方はいかがですか。)

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 ◆<聞き方の技術> 話を聞く効果◆
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 子どもの話を聞くのは、教育的な効果がある。
1 子どもの話をよく聞いてあげることで、自分を受け入れてもらえた、自分を理解し 
 てもらえた、自分は大切にされている、という気持ちにすることができる。
2 子どものものの考え方・感じ方や要求や意見を知ることができ、子ども理解が深ま
 り、子どもの指導に役立ち情報を入手できる。
3 自分の話をよく聞いてくれた教師に好感を抱くようになり、その教師の話に耳を傾
 けるようになる。
4 子どもの話を聞いて上げることで、子どもの心の問題の解消に役立つ。

 キリスト教の教会に懺悔室がある。小さいボックス型の小部屋で小さい窓をはさんで神父が信者の告白を聞くようになっている。信者が罪を告白すると、神父は神の代理人として、その罪を許す。信者は胸につまった悩みを懺悔することでカタルシスにもなる。これはカソリック系である。
 プロテスタント系には懺悔はないので、信者は罪の告白ができない。そこで、そういう国では神父にかわって精神科医がその悩みを聞くようになった。精神科医の仕事はもっぱら患者の悩みの聞き役である。
 このとき、大事なのは「聞く」に徹することである。患者は聞いてもらうことで心の悩みを解消する。神父に懺悔するのと同じ効用である。
 これは子どもの場合も同じで、教師に自分の葛藤を聞いてもらうことで、心の悩みを解消する。
子どもの話を聞くことにはこんな効果があった。

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 ◆<教師のわざ> 生徒指導の場◆
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 先日、鹿児島の祁答院(けどういん)中学校にいった。校庭の一角に足湯があった。
 鹿児島は日本一の温泉県である。県内のどこからでも温泉が湧出する。祁答院中学校のとなりが町の温泉施設で、その余った温泉湯を学校の敷地に流してもらい、足湯場にしてある。15人くらいが入れる大きさで、屋根もちゃんとついている。
 教頭先生が「問題の子どもと足湯にひたりながら話をしています」 
 問題生徒と教師が足を湯にひたしながら話し合う。なごやかな情景である。足をばちゃばちゃさせながら話し合う。足のぬくもりが心の棘を和らげ、理解と和解への扉を開く。うらやましい施設である。
 そういえば、勤務学校に風呂場をつくって、問題生徒と風呂に入りながら背中を流しっこしたことを思いだした。湯は人の心をなごませた。

 しかし、多くは足湯・風呂場などないが、問題の生徒と話し合うときは、場の設定が大切だということは押さえておきたいことである。
 
 わたしが勤務していた学校に「おセンチハウス」という小屋があった。海の見える場所で、そこに立つとセンチメンタルな気分になるので、その名がついた。
 女子の問題行動の話し合いは、もっぱら、この「おセンチハウス」でおこなった。ここで女子と話し合うと、だいたいうまくいった。場が大事だった。
 
 しかし、学校にそういう場所もないということがある。そうしたら、最後は食事という場を設定する。放課後、部活が終わってから問題生徒と話し合うようにする。少し薄暗いほうがいい。 ガーゲンの法則という。薄くらいほうが男女の親密さが増すという法則の応用である。
 食事といっても、ラーメンでいい。ラーメンを食べながら話し合う。これは「ランチョン・テクニック」というそうだ。うまいものを食いながら話し合うと、お腹の満足感が人間への満足感へと転化するというのである。指導する教師への好感度が増し、教師の指導が入りやすくなるのである。

 問題の生徒と話し合うときに、どんな場を設定するのか、いろいろ工夫して試してみて、そのなかから自分の得意な方法を確立すればいいのである。


……(教育実践ノートにはこんな内容があります)……………………………………………………………
11月号目次より: <時評> 自衛意識を高める <今月の言葉> 強制はよくない <教師のわざ> 生徒指導の場 <授業のわざ> 板書のわざ<学級づくり> 係活動、係のつくり方 <聞き方の技術> 話を聞く効果 <群読> 童謡を教材にしよう  <文化活動資料館> 新聞解話会 <子どもを変える詩の力> サボり事件に読む詩 <学校づくり> 学年つくりの課題 <職場づくり> 徹底的に保護者を集める? <教育実践史を読む> 質問のつくり方 <読書日記> 2004年11月 <仕事文> 推薦の言葉 <教師の学習> 教育運動の弊風 <日常の教育学>「ヒロシです」 <実践記録の書き方> 気になる表現 <サークル活動> サークルの研究発表会 <子育て通信> 大福の食い方 <レジメ> みんなで群読 ワークショツプ U
<長編連載「行事の創造」> 5章 行事内容の民主化(4) <お知らせ>