「和」 その17 〜学年通信先生方バージョン〜
H16 6 15 (火)
「クラスの病気はどのようにして悪化するか」5(『クラスはよみがえる』野田俊作・萩昌子著をもとに)

 作戦3 権力闘争:勝とう,すくなくとも負けないでいよう 2

 このテーマは,間がずいぶん空いて1ヶ月ぶりですので前回までのまとめから。
子どものが所属を目指してとる作戦の1番目は「賞賛」2番目は「注目」そして3番目が「権力闘争」。この段階での教師の対応は,

「私の権威は一体どこへいってしまったのか」と 感じ
「いったい誰がボスなのか,はっきりさせてやろうじゃないか」と 考え
 強圧的に子どもの行動を変えようとします。
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(ところが)
教師が,強圧的に正義と権力をふりまわせばふりまわすほど,子どもはますます頑固に不適切な行動を繰り返します

(なぜか?)
それは,教師の作戦が基本的に誤っているからです。(ここからまでした)
<第1の間違い>
「あの子のやっていることは悪いことだと,あの子に教えてやらなくては」と考えます。これが第1の間違い。乳幼児でないかぎり,自分の行動が不適切だと知っています。
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その子たちは,適切な行動では所属できない(仲間や教師から認められない)と感じ,適切にふるまう勇気を完全に失って挫折しているのです。

<第2の間違い>
「おだやかに言ってやめないのなら,叱るしかない」と考えて,罰でもって教育をしようとすることです。
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たとえ,罰せられること恐れて不適切な行動をやめたとしても,罰する人がいなくなれば必ずまた同じ行動をするでしょう。
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また,「見つからなければ何をしてもいいんだ」と考えるようになるかもしれません。
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罰することで不適切な行動が減ることはまれで,かえって増えてしまうことの方が多いようです。
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その理由は,ほとんどの場合は
「罰せられることを覚悟の上で,不適切な行動を選択している」からです。
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罰せられても,(また同じことを繰り返したり,別な方法で困らせたりして)屈服しなければ「子どもの勝ち」です。それこそ,子どもが望んでいることなのです。
<具体例をあげます>
ある子どもがタバコを吸っているとします。
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その子どもはタバコを吸うことが不適切な行動と知っています。知ってはいるのだけど,そのやり方によってしかクラスに所属する方法を見出せないでいるのです。
(極端な違反服等もこれと同じです)
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その子どもは
「僕がもしタバコを吸えば,クラスメートは僕を特別な人間だと思って注目してくれるだろう。先生が叱っても,なお吸い続ければ,僕は先生よりも強いことが証明されて,クラスメートはますます僕を注目するだろう。タバコを吸わなければ,僕はただの劣等生に戻ってしまって,クラスのみんなからもバカにされ,先生からも無視されるだけ(注目されないまま)だ。」
と考えているのです。

このような子どもを教師が叱ったとすれば,その結果はあきらかです。子どもは

「しめしめ,ここで先生に負けなければ,僕はクラスメートの注目を集めることができて,確実にクラスの中に自分の居場所を作ることができるぞ」
と感じてしまうでしょう。

たとえ,その場ではその子に勝ったとしても,教師がいなくなるとまたその子はタバコを吸って「ふん,先生なんかに支配されてたまるか」と同じ行為を続け,自分の居場所を作り出そうとし続けます。

ですから,教師がしなければならないことは,問題児を叱ることではなく,「君が問題児でいなくても,私もクラスの仲間に君をクラスに受け入れますよ」ということを彼らに伝えることです。

もちろん,タバコを吸うことを許容しろということではありません。

「叱ってはいけない,許容してもいけない,だとすれば一体どうしろというんだ」
答は「問題児はひとまずおいて,クラスの子どもたち全員に対するアプローチを変える」
です。
 そのことについて,6/16(水)の『勇気づけ会議』で話題にする予定です。
(次回は「作戦4 復讐:相手にできるだけダメージを与えよう」です)