「和」 その15 〜学年通信先生方バージョン〜
H16 6 3(木)
「長崎での事件」どう教える?
〜「なぜ」もだが,「どうすれば」の視点で向き合わせよう〜
本当に痛ましいとしか言い様のない事件が起きました。
なぜ起きたのか?
どんな事例も原因は,一つではありません。
原因追求も流れの中では必要ですが,
やりがちなのは「ネット社会のマナー教育ができていないから」
などという,単一の原因に帰結しがちになります。
そこで,原因追求もですが
「どうすればこの事件は起らないのか?」
「私たちにできること,すべきことは何か?」
という,解決策を考えること,そして行動にうつすことの方が,より大切ではないかと考えています。
以下に掲載してあるのは,ある小学校の先生の実践例です。
少々辛口ですが,先生方の実践の参考になればと思います。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
深澤です。
1。長崎での痛ましい「事件」から1日経った今日、皆さんは何をしただろうか?何
もしていないとすれば、余りにも傍観者的であり、鈍感だ。
2。私の勤務校では朝、校長が「子どもたちがカッターナイフを持っているかどうか
チェックして下さい」という主旨の事を教委からの指示として言った。私は「そんな
クダラン事をしても何の意味もない。教師としてすべき事は他にある。」と考えてい
る。
3。45分の授業、これが私のした事である。詳細はここでは書かないが、かなり粗
い流れのみ。
突然と「ごめんなさい」と板書したところから始まる。
「この言葉を生まれてから今まで一度でも言った事のある人?」と尋ねると、全員が
言った事がある、となる。どんな時に言ったかを全て発表させる。その後、「『ごめ
んなさい』といくら言ってもどうにもならない事が、少なくとも一つある。それは何
だ?」と問う。いろいろ意見が出たが、人を殺してしまう事、が出る。人の命はお金
で買えない事を具体例を挙げて確認する。ここまでで、25分ほどである。
ここで初めて「昨日の夜のニュースで、こうした事が流れました。知っている人
?」と子どもたちに尋ねた。小三だが、7割ほどの子たちは知っていた。知っている
子たちに概要を「説明」させる。凶器がカッターナイフであった事も出る。「今、
カッターナイフを持っている人?」と聞くと、一人の子が挙手。出してもらい、私が
手に取る。「○○君は、このカッターナイフを何に使うの?」と尋ねると、文房具と
して使う事を言う。「それが正しい使い道だ」と言いながら、「鉛筆持っている人
?」と問う。もちろん全員が挙手。一人の子から芯のとがった鉛筆を借りて言う。
「この鉛筆一本でもやる気になれば人を殺す事ができるし、少なくとも目を潰す事は
できる。」その鉛筆の持ち主に「○○さんは、この鉛筆を人の目を潰すために持って
いるの?」と尋ねる。もちろん否定する。真剣な顔をして、である。「はさみを持っ
ている人?」と聞くと、全員が挙手。同様な形で子どもたちと「やりとり」する。こ
の段階が、道具の「使い道」についての私流の指導である。ここまでで、授業開始か
ら40分弱。
最後に「だめ押し」をして終了(この「だめ押し」についてはここでは書かないで
おく。想像して頂きたい)。これが私のしたことの概略である。
4。カッターナイフが凶器になったからと言って、カッターナイフの持参状況を点検
して「人を切るな」と言っただけでOKと考えているとしたら、あまりにも無知であ
り、考えが「甘」すぎる。茨城のある小学校では今日職員が家庭科室や図工室の道具
の管理の点検をした、とラジオで報道していたが、こうしたことばかりしているから
ダメなのだ。
カッターナイフの他にも、殺傷能力のある道具は学校内にはゴロゴロしているし家
庭内にもゴロゴロしている。前述した鉛筆・はさみ以外にも、棒の類や椅子や机、紙
一枚でも人の目を潰す事ができるし、壁に相手の頭を何回もブチ付ければ命を奪う事
はできる。危険な道具を子どもから遠ざけるという発想でいくと、子どもたちの周り
から一切のモノを撤去することになる。違うのだ。モノを遠ざけるのではなく、モノ
を使う者(=子どもたち)の心をキチッと「管理」する事こそが最重要なのだ。心の
在り方に対する指導をしなければならない。正しく生きる・人としてやってはいけな
い事をしない、といったまさに「正義と勇気を育てる教育」を行う必要があるのだ。
そして、そうした教育を目の前の子どもたちに対して気合いを持って行う事が、なく
なった子に対する教育者としてのせめてもの償いとなるのだ。
今日まだ「何もしていない」教師がいたら、明日早速「何かをする」事である。そ
して、その「した事」をこのMLに流そう。殺人者を生みださない、これが教師とし
ての最低限の責務だ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
深澤 久:「道徳教育改革集団」代表 http://homepage2.nifty.com/mrdo/home1.htm
深澤氏は群馬県の小学校の先生です。「正義と勇気を育てる教育」を強く主張され,道徳実践では,著書も数多く出されていらしゃいます。