簡易カウンセリングのステップ(アドラ−心理学に基づく)
『アドラ−心理学によるカウンセリング・マインドの育て方』岩井俊憲著より
情報収集の要領
1 開いた質問を用いて具体的に聴く cf質問の種類
……(1)「イエス,ノー」で答えられない質問 (2)5W1Hで始まる質問
2 どのライフタスクが問題かを明確にする…人生で取り組まなければならい様々な課題(仕事/交友/愛に分類)
3 必ずしも多量の情報を必要とするわけではない
……「目標の一致」から「代替案の模索」に至るステップに不可欠な情報に限られる
4 先入観を駆使して大いに推量する
……(1)先入観を持たずに自体が先入観 (2)柔軟で自由な(思考をもたらす)先入観
勇気づけ
「なぜ必要か」→「クライアントが勇気をくじかれているから」「勇気づけの三つの方向」
1 自分自身を受け入れる(自己受容できる)ように
2 仲間,共同体と確かなつながりを保てるように
3 仕事,交友,愛の三つのライフタスクのうちで,困難になっているタスクを克服できるように
第1ステップ……関係の樹立(相互尊敬,相互信頼≒ラポール)
1 クライアントの座る位置を自由にさせる
2 カウンセラーとしてきちんと自己紹介する
3 カウンセリングに際しての最低限のこと(時間,料金,守秘義務)を合意
第2ステップ……目標の一致
「ゴールを目指したカウンセリング」である
「カウンセリングの集結の条件が目標」
「ベストよりベター」(完璧は困難である。達成可能な目標に値引きを!)
第3ステップ……課題の分離
その行動の結末が誰か一人に帰属するとしたら,誰の仕事,誰の責任になるかという視点
「そのことで最終的にお困りになるのはだれですか」
「その問題の解決の当事者は誰でしょうか」
「あなたにできることは何ですか」
<カウンセリングの目標のポイント>
1 カウンセリングの目標は,主訴とは異なる
2 カウンセリングの目標は,問題を取り除くことではなく,解決のイメージを持つことである
3 カウンセリングの目標は,仕事,交友,愛の三つのライフタスクのいずれかを克服しようとするものである
4 カウンセリングの目標は,目に見えるかたちでのクライアントの行動変容である
5 カウンセリングの目標は,クライアントが意識的な努力を払わなければならないものである
6 カウンセリングの目標は,共同体の利益を損なうのもであってはならない
第4ステップ……結末の予測
現在とっている行動を続けていると最終的に事態はどんな結末になるかを予測させる手続
き。それによって,より適切な代替案を模索するように動機づけることのある
「このままでいくと,どんな事態になるでしょうか」
「最悪な場合,どんなことが見込まれますか」
「いまやっていることのメリットは何でしょうか。また,デメリットは」
第5ステップ……代替案の模索
現在の行動に変わるより有効な行動をクライアントとともに複数検討し,クライアントはその中から選択する。そして,クライアントが勇気をもって行動できるよう,カウンセら−が援助する
<代替案の条件>
1 カウンセリング目標に対する具体的な手段であること
例「夫婦仲を改善する」→「明日から夫婦仲良くする」×
2 肯定文で表現される行動であること
例「猿のことを考えるな」→「猿のことばかり考えてしまう」×
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(第6ステップ……カウンセリングのまとめと感謝の言葉)
<カウンセリング・セッションのまとめ>
「今日のカウンセリングで学んだこと,あらためて気づいたことはどんなことですか」
「家に帰って,どんなことをしようと決心されましたか」
<感謝の言葉>
「今回のカウンセリングを通じて,むしろ私自身が○○さんから勇気づけられた気がします。ありがとうございました」
「これで,一応カウンセリングは終了しますが,これからも問題を感じたらどうぞ遠慮なく御連絡ください。お待ちしております」